官金の上納


 当道の階級は全部で73の刻目に細分化され、そのうち、名称を持っている階級は67である。 しかし、すべての階級で1刻目ずつ昇進していくわけではなく、階級によっては数刻目分の官金を一括して納めることになっていた。 たとえば、四度の座頭のうちの「15 送り物引」「16 大座引」「17 中老引」の3階級については、合計の15両を一括して納めて「四度の中老引」を称した。 したがって、途中の「四度の送り物引」や「四度の大座引」の階級にとどまっている者は存在しない。

 惣別当と検校の「任じ」を除いた6階級においては分納が認められ、半額を納めたものを「むら晴」、全額を納めたものを「惣晴」といった。

当道の階級と官金上納の方法
4官16階通称73刻官金上納の方法
初心(無官)(0)
打掛 1半内掛  4両
2丸内掛  3両2分
3過銭内掛    2分
座頭一度衆分 4才敷衆分  4両
5(萩の)上衆引  4両
6中老引  4両
7 20両
二度 8上衆引  6両
9中老引  6両
10 30両
三度11上衆引  4両
12中老引  4両
13 20両
四度在名 または 四度14上衆引 22両
15送り物引  6両15,16,17は合算して15両を一括上納
16大座引  3両
17中老引  6両
18 25両
勾当一度過銭勾当19過銭之任じ  3両
20上衆引 17両
21 10両
二度送物勾当22百引 10両
23上衆引  6両
24  4両
三度掛司25三老引    1分25,26,27は合算して1両を一括上納
26五老引    1分
27十老引    2分
28上衆引  6両
29  5両
四度立寄30五十引  5両
31上衆引  5両
32  5両
五度召物33三老引    1分33,34,35は合算して1両を一括上納
34五老引    1分
35十老引    2分
36上衆引  4両
37中老引  5両
38 25両
六度初の大座39三老引    2分39,40,41は合算して2両を一括上納
40五老引    2分
41十老引  1両
42上衆引  8両
43中老引 10両
44 40両
七度後の大座45三老引    2分45,46,47は合算して2両を一括上納
46五老引    2分
47十老引  1両
48上衆引  8両
49中老引 10両
50 40両
八度権勾当51上衆引 10両51,52,53は合算して50両を一括上納
52中老引 10両
53 30両
別当権別当検校54上衆引 10両54〜60は合算して120両を一括上納
55中老引 10両
56 30両
正別当57上衆引 10両
58中老引 10両
59 30両
惣別当60惣別当任じ 20両
61上衆引 10両2回に分納してもよい
62中老引 10両2回に分納してもよい
63 30両2回に分納してもよい
検校検校64検校任じ 45両
65上衆引 10両2回に分納してもよい
66中老引 10両2回に分納してもよい
67 30両2回に分納してもよい
合計719両……

 加藤康昭;『日本盲人社会史研究』,p180〜181
 『当道用覚書』 「第一 官位の次第」 ―― 渥美かをる・前田美稲子・生方貴重(編著);『奥村家蔵 当道座・平家琵琶資料』,p88〜93
 より作成


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