7 盲界の将棋
7-1
7-2
当道座内に盲人棋士集団があっただろうという推定。これは、座内で盲人から盲人への将棋の指導が行われて継承されていたのだろうということを推定している。
7-3
最初に、ある晴眼者が盲人に将棋を教えた。
晴眼者から将棋を教わった最初の盲人が石田検校だったのか、あるいはもっと前の出来事だったのかはわからない。
その後は座内で盲人が盲人に将棋を教えた。
「すごい!」という驚嘆の背後には、見えない人を劣った存在とみなす蔑みの目線があることです。「すごい」は単なる「すごい」ではなくて、実は「見えないのにすごい」ということなのです。 ―― 伊藤亜紗;『目の見えない人は世界をどう見ているのか』,光文社新書8(2015).p85 |
7-6
前近代の視覚障害者にはずいぶんしたたかでたくましい一面があるのだけれど、それは近現代の感覚とは隔たりもある。
個の尊厳や人権の普遍性の理念を知っている現代人にしてみれば、前近代の視覚障害者の生きざまはしばしば奇異に感じられることもある。