当道雑記 6


6  杉山和一の師匠

6-1
 杉山和一は伊勢で生まれ、幼少時に失明し、江戸で山瀬琢一に入門する ―― というのが通説のようだ。
 『三代関』では杉山和一の坊主は原井勾当となっている。山瀬琢一に入門する前に原井勾当の弟子だったことがわかる。

6-2
 原井勾当は伊勢の人か、江戸の人か。
 伊勢の人であったなら、杉山和一は伊勢で原井勾当の弟子になったのちに江戸に出たことになる。江戸の人であったなら、杉山和一はまず江戸に向かい、江戸で原井勾当の弟子になってから山瀬琢一に入門したことになる。

6-3
 若き日の杉山和一は一介の盲青年としてではなく、原井勾当の弟子として山瀬の門を叩いたのだ。当然、紹介状のようなものを持っていただろう。最初から山瀬に入門するつもりだったなら。


当道雑記

近世当道