当道雑記 13


13  名付・取立

13-1
 「名付」あるいは「取立」という師弟関係。
 弟子から見れば「名付師匠」あるいは「取立師匠」。「技教へたる師匠」と対義的に用いられているのは疑いようもないが、「名付師匠」「取立師匠」は「坊主」とはどう異なるか?

13-2
 『三代関』の鳥山玉一(安永2年3月8日 惣晴)の任官記録には「伊達山崎一名附」とある。加藤右京一(安永2年3月10日 権成)にも「但伊達山崎一名附」とある。
 坊主は稲村まさ一であるが、名付師匠は伊達山崎一であるということで、坊主と名付師匠が異なるということを示している。このような例はほかにはほとんど見られない。これは、何を意味しているか?
 伊達さんき一(宝暦7年3月20日 権成)も同じく稲村検校の弟子であり、鳥山、加藤の両検校は実は伊達検校のオトウト弟子にあたる。

国立国会図書館デジタルコレクション『三代関』。https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2562356 コマ番号43/61。鳥山検校の任官の記録が見られる。

国立国会図書館デジタルコレクション『三代関』。https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2562356 コマ番号44/61。加藤検校の任官の記録が見られる。


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